【2月9日の日本の昔話】もち屋の禅問答-NHK新闻むかしむかし、あるところに、とても大おおきなお寺てらがありました。　寺てらはとても立派りっ??

【2月9日の日本の昔話】もち屋の禅問答-NHK新闻
むかしむかし、あるところに、とても大おおきなお寺てらがありました。　寺てらはとても立派りっぱですが、困こまった事ことに、この寺てらの和尚おしょうときたら、勉強べんきょうが嫌きらいな上うえに物もの知しらずです。　さて、ある日ひの事こと、一人ひとりの旅たびの坊ぼうさんがやって来きて、「それがし、禅問答ぜんもんどうをいたそうとぞんじてまかりこしたが、寺てらの和尚おしょうどのはおられるかな」と、ちょうど玄関げんかんの掃除そうじをしていた、この寺てらの和尚おしょうさんに尋たずねたのです。
　さあ問答もんどうと聞きいて、和尚おしょうさんはビックリしました天下人家。　相手あいては、仁王におうさまの様ような大男おおおとこ。　しかも、あちこちの寺てらを回まわり歩あるいては問答もんどうを仕掛しかけ、一いち度ども負まけた事ことはござらぬという顔かおです。(こりゃあ、どえらい事ことになったわい。一体いったいどうしたもんじゃろう。远望楼宾馆???そうじゃ。もち屋やの六助ろくすけがよい)と、思おもいつき、ともかく旅たびの僧そうを本堂ほんどうに案内あんないして、「和尚おしょうさまは、ただいま、お留守るすにございますが、近ちかくにまいっておられますので、さっそく呼よんでまいりましょう」
　言い終いおわると転ころげる様ように、もち屋やの六助ろくすけの家いえへ行いきました。「六助ろくすけどの。たった今いま、これこれ、しかじか微纪元。ぜひわしの身代みがわりになって、問答もんどうをやって下くだされ」と、両手りょうてを合あわせて頼たのみました。
　日頃ひごろから信心しんじん(しんじん→神仏しんぶつを思おもう気持きもち)深い、もち屋やの六助ろくすけは、「へえ、和尚おしょうさまのお為ためなら」と、引ひき受うけました。　六助ろくすけは和尚おしょうさんの部屋へやで着替きがえると、しずしずと本堂ほんどうに入はいって旅たびの僧そうと向むかい合あいました。　和尚おしょうさんが隠かくれて様子ようすを見みていると、さっそく、もち屋やと旅たびの僧そうの問答もんどうが始はじまりました。「白扇はくせんさかしまにかかる東海とうかいの天てん」　旅たびの坊ぼうさんが、口くちを開ひらきました。
　雪ゆきをいただいた富士山ふじさんが、白しろい扇おうぎを逆さかさまにかけた様ように海うみにうつっているが、そのながめはいかに？と、聞きいたのですが、訳わけの分わからないもち屋やの六助ろくすけは、うんともすんとも言いいません。　すると、旅たびの僧そうが、「和尚おしょうどのは、無言むごんの行でおわすか？艾佳妮」と、聞ききました。「??母皇降临????」　六助ろくすけは、それにも答こたえません。
　二人ふたりの間あいだで、無言むごんの行ぎょうが始はじまりました。　しばらくして旅たびの僧そうが右手みぎてを上あげて、人差ひとさし指ゆびと親指おやゆびとで小ちいさな輪わを作つくれば、六助ろくすけはそれを見みて両手りょうてを上あげて大おおきな輪わを作つくりました。　すると旅たびの僧そうは、おそれいったという様子ようすで丁寧ていねいに頭あたまを下さげます好孝心。　そして今度こんどは、人差ひとさし指ゆびを一本いっぽん突つき出だして見みせました。　六助ろくすけは素早すばやく、五ご本ほんの指ゆびをパッと開ひらきます。
　旅たびの僧そうは、また丁寧ていねいに頭あたまを下さげました。　今度こんどは三本の指ゆびを、高たかく差さし上あげました。　するとそれを見みた六助ろくすけは、アカンベエをしたのです。
　それを見みた旅たびの僧そうは、あわてて両手りょうてをついて、「ははーっ」と、頭あたまをたたみにすりつけると、逃にげる様ようにして寺てらから出でて行いきました活结乐队。　和尚おしょうさんは、ホッと胸むねをなで下おろしました。　それにしても今いまの問答もんどうは、何なんとも訳わけが分わかりません大盗贼动画片。　そこで和尚おしょうは、小僧こぞうを呼よんで、「お前まえ、今いまの僧そうが泊とまっておる宿やどヘ行いって、訳わけを聞きいて来こい」と、言いいつけました。　宿やどにやって来きた寺てらの小僧こぞうさんを前まえにして、旅たびの僧そうは冷ひや汗あせを拭ふきながら言いいました。「いやはや、わしも天下てんかの寺てらでらを歩あるいて問答もんどうをいたしたが、今日きょうほど、えらいめおうた事ごとはない。
　まずわしが、この様ように輪わを作つくって、『太陽たいようは、いかに？』と、問といかけたのじゃ。　すると和尚おしょうどのは、『世界せかいを照てらす！』と、大おおきな輪わを作つくって見みせて下くだされた。　次つぎに、『仏法ぶっぽうは、いかに？』と、人差ひとさし指ゆびを差さし出だすと、パッと五ご本ほんの指ゆびを出だされて、『五ご界かいを照てらす牵牛星李剑！』と、答こたえなさる。
　負まけてはならじと、三本の指ゆびを出だして、『三さん仏身ぶっしんは、これいかに？』と、問といもうした。
　すると和尚おしょうどのは、『目めの下したにあり』と、答こたえなされたのじゃ」　そこまで言いうと旅たびの僧そうは、しみじみと小僧こぞうさんの顔かおを見みて、「お前まえさんはまだ年としが若わかいで知しるまいが、　三さん仏身ぶっしんとは、すなわち法身?報ほう身?応身のご三さん体たいで、ほっしんとは宇宙うちゅうの法理ほうりであって、光明こうみょうかがやく仏ふつさま。　ほうしんとは、世よのもろもろの悪あくを清きよめ、われわれ人間にんげんはじめ全すべての生物せいぶつをお救すくいなさる阿弥陀如来あみだにょらいさま。　おうしんとは、ときに応おうじて、われわれを導みちびく為ために現あらわれなさるお方かた、いわばお釈迦しゃかさまじゃ。　このもったいないお三方さんぽうが、和尚おしょうどのの目下めしたにあるとは、ああ、なんと、なんと」
　旅たびの僧そうは涙なみだぐんで、小僧こぞうさんの前まえに手てをつくと、「まことに、まことに、あの様ようなお方かたにお目めにかかるばかりか、問答もんどうなどをいたしまして、いやはや、面目しだいもございませぬ」と、わびるように言いいました。　小僧こぞうさんは、(ヒェー！　あのもち屋やの六助ろくすけさんが)と、ビックリして寺てらヘ帰かえって来きました。
　すると、これはまたどうした事ことか、六助ろくすけさんは和尚おしょうさんを前まえにしてカンカンに怒おこっています。　小僧こぞうは六助ろくすけさんの前まえに手てをついて、ていねいに、「もし、もし。六助ろくすけさま。一体いったい、どうなさいました？」と、尋たずねると、もち屋やの六助ろくすけは、「なさいましたも、クソも、ないもんだ。えーい、わしゃ、この年としまで色いろんな人ひとにおうてきたが、今日きょうの坊主ぼうずほど、ずうずうしい奴やつにおうた事ことはないわい」「???？」「あのクソ坊主ぼうずめ。手真似てまねで小ちいさな輪わを作つくって、『お前まえのもちは、これくらいか？』と、聞ききおった。　わしは腹はらが立たって、こんちくしょうとばかり両手りょうてで、でっかい奴やつを作つくって見みせたわい。　すると今度こんどは、人差ひとさし指ゆびを差さし出だして、『それはいくらか？』と、聞きく。　わしが、『五ご厘りんじゃ！』
と、五ご本ほんの指ゆびを出だせば、坊主ぼうずめ、三さん本ほんの指ゆびを出だしおって、『三さん厘りんにまけろ』と、ぬかしおった。
　あんまり腹はらが立たったもんで、わしゃ、アカンベエをしてやったわい」と、言いったのです。おしまい

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